不動産の購入前に知っておこう!住宅ローンの審査基準とは
不動産を購入する場合、ほとんどの人が住宅ローンを利用します。不動産探しをするにあたってどの価格帯の不動産が購入できるかは、住宅ローンがいくら借りられるかで基準が決まってきます。その基準がわからないと不動産探しも進みません。ここでは住宅ローンの基本を説明いたします。
審査金利を理解しておこう
住宅ローンの借入審査には、審査金利という金利をもとに審査をします。この審査金利というのは非公開のため、正確にはわかりません。ただ、ほとんどの金融機関が10年固定金利の割引前の店頭金利を基準にしているのではないか、と言われています。これは大体、金利3~4%というところです。
■なぜ3~4%で審査しているのか
住宅ローンの変動金利が0%台で借りることができる時代に、審査する場合にはなぜ、金利を3%から4%で計算するのでしょうか?
それは住宅ローンを貸す金融機関としては、住宅ローンが返済されず滞るのを防止したいためです。住宅ローンのどの商品でも、なかなか4%を超えるものはありません。ですので、この金利で審査することにより「今後金利が上がったとしても、借りている人は返済できるだろう」という設定です。
■年収に対してどこまで貸してくれるのか
審査金利に続いて使われるのが、返済比率という数字です。返済比率も公表されているわけではありませんが、おおよそ25~35%と言われています。この返済比率というものは、年収に対して年間住宅ローン返済金額がどれくらいの割合を占めているか、というものです。
例えば年収500万円の場合、年間返済している住宅ローンが100万円とすると「100万円÷500万円=0.2=20%」となります。この%が返済比率です。さきほど、審査金利で出した住宅ローンの年間返済総額を使って計算します。
事前審査と本審査がある
住宅ローンには、事前審査と本審査があります。それぞれの違いなどを説明します。
■事前審査とは
文字どおり本審査の前の事前の審査です。ここでは、住宅ローンの申込者の経済状況や返済が可能な金額なのか、他に借り入れがあって返済できないのではないか、というようなチェックを受けます。住宅ローン申込者が、返済可能なプランで申し込んでいるかを確認するわけです。
ですので、ここでは年収を確認する源泉徴収票、本人確認書類、健康保険証、返済している債務状況がわかる明細を提出することになります。金融機関にもよりますが、だいたい2日から7日くらいで事前審査の回答がでます。
■本審査とは
住宅ローンは金融機関にとっても大金になりますので、事前審査より厳しい審査を時間かけて行います。そして、事前審査では金融機関が審査していましたが、本審査では保証会社も審査をします。この保証会社というのは、住宅ローンの契約者がローンを返せなくなった場合に、契約者の代わりに金融機関に住宅ローンの残額を支払う会社です。
住宅ローン申込者の年収や返済比率、既存の借入の確認にくわえ、どういう不動産を購入するのか、その不動産には価値がきちんとあるのかも審査されます。細かい審査が行われますので、結果が出るのにおおよそ2週間から4週間くらいかかります。
どこで返済能力の有無を判断されるのか
返済能力があるかは、さまざまな部分で判断されます。どこで判断されるか例にあげます。
■勤続年数
勤続年数が長ければ長いほど、審査に通りやすくなります。勤続年数の最低限のラインを決めている金融機関もありますので、勤続年数が規定より短いとそれだけで住宅ローン審査が通らないことがあります。
■雇用形態
正社員が一番通りやすく、契約社員になると極端に住宅ローン審査に通りづらくなります。フラット35であれば、パート・アルバイトでも住宅ローン審査に通ることもありますが、難しいのが現状です。
■購入不動産の担保価値
住宅ローンが返済できなくなった場合、金融機関は担保として購入した不動産を差し押さえてから売却します。このときの売却金額が「住宅ローンの借入額に見合わない不動産」と判断された場合、住宅ローン審査が通らないときがあります。不動産の中には、法的な事情で今建っている戸建を壊した後、再度建物を建てられない土地などがあります。このような土地は「担保価値がない」という言い方をします。
■携帯
実は携帯を分割払いにしている場合は、既存の借入としてみなされてしまいます。クレジットカードや車のローンなどを借りていないし、一度も借金を背負ったことがないから金融機関に借金はありませんと申告する人が多いのですが、携帯の分割払いも立派な借金扱いになります。もし、携帯を分割払いにしているのであれば、支払残額や残りの支払期間もしっかりと不動産会社、金融機関に伝えるようにしましょう。
住宅ローンというのは貸す側、借りる側両方にとって、非常に大きい影響を及ぼします。その影響が大きい住宅ローンは、どのような審査をするものなのか、審査に影響する事項は何なのか、それが少しわかるだけでどれぐらいの借入をすればいいかわかってきます。詳細は金融機関と打ち合わせすることが大切ですが、その前段階として住宅ローンの審査の仕組みがわかっていると話がしやすいはずです。